歯は、日々の生活を支える大切な役割を担っています。
会話を楽しんだり、食事を美味しく味わったり、表情をつくったりと、歯の健康は見た目だけでなく、心身の快適さにも深く関わっています。
普段は意識していなくても、歯やお口の健康が損なわれると、日常生活にさまざまな支障が出ることがあります。
歯みがきなどのケアが不十分だったり、疲労やストレスがたまったりすると、知らず知らずのうちにお口の中に不調が現れやすくなります。
そうしたサインの一つが、「歯が痛い」「冷たいものがしみる」といった症状です。
まずは、その原因を知ることが大切です。症状が悪化する前に、早めの受診と適切なケアを心がけましょう。
むし歯(う蝕)
飲食物に含まれる糖分が、口の中の細菌や歯垢と反応して酸をつくり出します。
この酸(主に乳酸など)には、歯の表面のエナメル質を溶かす力があり、進行すると「むし歯」になります。
むし歯の進行度によって、しみ方や痛みの出方は変わる傾向があります。
たとえば、むし歯が初期の段階では冷たいものにしみることが多く、逆に温かい飲み物や食べ物でしみたり痛みを感じたりする場合は、むし歯が進行している可能性があります。
知覚過敏
冷たいものを口にしたときに歯が「キーン」としみるような感覚がある場合、それは「知覚過敏(ちかくかびん)」と呼ばれる状態かもしれません。
これは、歯の内側にある象牙質という部分が外部の刺激に反応しやすくなっているために起こります。象牙質には「象牙細管(ぞうげさいかん)」という細かい管が多数あり、そこを通じて刺激が神経に伝わることで、しみるような症状が出ると考えられています。
知覚過敏を引き起こす要因
これらの習慣によって、歯の表面を覆っているエナメル質が削られてしまい、内側の象牙質が露出することで、刺激が伝わりやすくなると考えられています。
知覚過敏がある場合には、削れた部分を補うためにレジン(樹脂)などを用いた処置を行うことがあります。
チェックポイント
以下のような項目に当てはまる方は、知覚過敏の症状が出やすい傾向があるかもしれません
しみる症状が一度おさまったとしても、根本的な原因が改善されていない場合は、再発したり悪化したりすることもあります。 気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
歯周病
歯周病は、気づかないうちに静かに進行することが多い疾患です。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、歯ぐきの腫れや出血なども見過ごされがちですが、実は日本人が歯を失う大きな原因のひとつといわれています。
歯ぐき(歯肉)が細菌に感染して炎症を起こすと、やがて歯を支える骨(歯槽骨)にまで影響が及ぶことがあります。その結果、歯ぐきがやせて下がり、歯が長く見えるようになったり、ぐらついたりすることもあります。
さらに、歯ぐきが下がることで歯の根元が露出し、刺激に敏感な象牙質(ぞうげしつ)が外からの刺激に反応しやすくなるため、「しみる」「痛む」といった症状につながることもあります。
チェックポイント
「以前は冷たいものがしみていたけれど、最近は気にならなくなった」と安心している方もいらっしゃいますが、実は唾液や歯のミネラルによって刺激の通り道がふさがれたことで一時的に症状が落ち着いているだけかもしれません。
根本的な原因を取り除かないまま放置してしまうと、歯を支える骨が減少し、歯の保存が難しくなるケースもあるとされています。
少しでも気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
その他にも…
噛んだときだけ痛い場合
「何かを噛んだときだけ痛い」と感じる場合、歯の神経(歯髄)が壊死し、根の先に炎症が広がっている可能性があります。
歯根の先端に膿がたまることで歯ぐきが腫れ、噛んだときに圧がかかると痛みとして感じられます。
このような状態になっている歯は、むし歯菌などによって神経がダメージを受けているケースが多く、歯の内部をきれいに洗浄・消毒する必要があります。
この治療を「根管治療(こんかんちりょう)」といいます。
丁寧に治療を進めていくことで、症状の緩和や歯の保存につながることが期待されます(※状態には個人差があります)。
歯ぐきが痛む、甘いものがしみるとき
「歯ぐきがうずくように痛む」「甘いものを食べた時だけしみる」などの症状も、むし歯や歯周病、歯の神経の炎症などが関係していることがあります。
気になる症状がある場合は、悪化する前に一度ご相談ください。
当クリニックでは、痛みに配慮したむし歯治療を心がけています。
できるだけリラックスして治療を受けていただけるよう、麻酔方法の工夫や治療時のコミュニケーションにも配慮しながら、リラックスして治療を受けていただけるよう努めています。